薬を飲めば、病気が治るのでしょうか。
多くの人は薬を飲みさえすれば、病気が治ると思いがちです。また病院や薬局でも治すために薬を勧めます。もちろん一定の症状を改善する効果はありますし、体のダメージが無くなることで、病気は治る方向に向かいます。しかし本当の意味で病気を治すのは、自らが持っている治癒力でしかないのです。良い治療は、この治癒力を低下させない治療といえます。
薬物治療による西洋医学の限界を思い知りました。
薬の添付文書にも使用の制限があり、多くは毒物(異物)としての副作用(デメリット)があるため、効果(メリット)が高いときのみ使用することになっています。にもかかわらず、副作用の部分は無視され、効果のみが優先された結果、拡大解釈され、安易に薬が多用されています。このことは治癒力の低下にもなります。薬漬け医療の弊害として、副作用による新たな「医原病」といわれる病気や発癌性薬物による癌化、また抗生物質の乱用による耐性菌の増加の現状に、心ある医師や社会学者は警鐘を鳴らしています。
このような現状を憂い、病気の原因を治し、真に健康になるための治療で、治癒力を高める効果が期待できる治療法は、東洋医学のなかの鍼灸治療しかないと思い立ちました。
現代人は不自然な生活環境により、ストレス・運動不足・栄養のアンバランスが生まれ、明らかに本来持っている治癒力を低下させています。健康であるためには種々の条件を必要とし、それが不足したときあるいは修正が効かなくなった時に病気になります。
その時に起きる症状はすべて悪いことではなく、体の中の異常を知らせてくれる注意信号だと思えば、かえって有益なことですが、せっかくの注意信号を遮断しては意味がありません。原因を治すことこそ大切です。
健康を害している原因を取り除き、健康を維持するためには、その人にとって何が必要で、何が足りなくて、どうすることが大切なのか、また薬の本来の使い方を理解してもらいながら、治癒力を高める鍼灸治療をきっかけとして、一人でも多くの人の「健康」に役立ちたいと考えました。