アミロイドーシス(難病指定)
10年前に発病
病状/症状 _ 分解・排出出来ないタンパク質であるアミロイドが組織や臓器に沈着・増殖し、機能低下や重篤障害を発症。現在はリンパ節のみ発生。耳下腺・顎下腺・鼠径部
患者情報 _ 75才、女性、主婦。現在、大学病院へ3か月に一度、検査通院(5年前より)。
患者病歴 _ 中学生の時、クスリでアナフィラキシーを発症し、それ以来パニック障害、心臓神経症を繰り返す。成人したころに収束し治まるが、30年くらい前より高血圧により降圧剤服用する。治
療前まで3種類服用。薬アレルギーあり。アミロイドーシスの西洋医学的治療はしていない。2~3年前より咳症状悪化。アレルギー薬や咳止め等の対症療法薬では治らず、生活に支障が出てきたため、鍼治療に改善を求めた。
治療経過 _ 2021.02.19より治療開始。当初、週2回(2~3日おき)の治療間隔とする。初回治療時患者さん本人が「体の中を何かが流れようだ」と感じた。
03.19 咳症状変わらず。前回痛みで右腕が上がらない症状が改善
03.30 気持ち、咳症状軽くなる。降圧剤(βブロッカー)減量・中止し、降圧剤は2種類のみとする。
04.19 日中の咳き込みが減少し、楽になっている。左耳下腺部のアミロイド塊が縮小し、軟弱化してきている。
05.07 咳の回数は激減し、症状も軽い。以前は、コロナ禍で買い物時の咳にストレスを感じていたが、それも解消された。
05.14 日中咳することがほぼ無い。以前は会話する途中で必ず咳が出て、会話が中断し、会話を避けるストレスを抱えていた。
05.31 血液検査。アミロイドの指標となるインターロイキン2Rが 975 ➡ 657 U/mL 基準値(613~121)この検査数値からも改善効果が示されている。
06.08 今月より週一回の治療とする。十分な治療効果を認めたため。降圧剤2種類中1種類は減量中。最終的には中止が目標。
治療経過の考察 _ アミロイドーシスは沈着部位によっては、短期間で死に
至らしめる病気であるので、ほぼリンパ節部位の沈着のみ
であったことは幸運であった。しかし、今後転移の可能性
も否定できないので、それも含めた治療となる。
今起きている咳症状は、耳下腺・顎下腺にアミロイドが沈着し、圧迫や刺激によって発症していると考えられるので、対症療法的治療で一時的にも止められないことから、鍼治療により原因を治すことでしか、咳症状を改善することができない。
具体的には、鍼治療によりアミロイドタンパクの合成阻害と分解促進が発生し、アミロイドが減少することにより、咳を引き起こす悪条件を取り除かれたことで治まってきていると考えられる。